企業インタビュー

Interview

制度よりも「実績」が先にあった! 自然と根づいた働き方と就業規則の見直しで4部門の認証を取得 ー 特殊製鋼所株式会社

4部門で認証取得。実は認証取得前より「意外とできていた」そんなところから始まった、働き方改革の歩みとは。 今回は、ワークライフバランス推進企業認証のうちを4部門を取得した株式会社 特殊製鋼所にて、これまでの取組やこれからの展望についてお話を伺いました。

最初に認証取得を目指した背景

平成学園の外観と運営施設のイメージ

ー:まず最初に認証取得を目指すようになったきっかけについて教えていただけますでしょうか?

株式会社 特殊製鋼所 猪野さま(以下、猪):はい、元々認証制度については興味があり、社労士の方から無料でアドバイスを頂けるということを教えてもらいました。そこで、弊社の現状などをお話ししてみると、「これだけ取り組んでいるなら認証取れますよ」と後押しされ、本格的な認証取得に向けて動きました。

最初は敷居が高そうだと感じていたのですが、取得の要件となる取組も、実は既に取り組んでいることも多かったと気づけましたし、これを機に就業規則も見直し、結果的には制度の見える化にもつながってよかったと思っています。

従業員の声から始まった育児休業制度設計と次世代育休支援部門認証取得

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ー:ありがとうございます。それでは、それぞれの認証取得に向けた内容やエピソードを教えていただきたいのですが、まず次世代育休部門についてはお聞かせください。

猪:次世代育成支援部門については、最初は従業員の方から「こういう制度があるようなので利用したいです」と育児休業の申し出があったことがきっかけで、それを受け「会社からちゃんと発信しなければ」と気づき、社内に浸透させるための取組を開始しました。

男性が育児休業を取るということに対して、周りの反応もネガティブなものはなかったです。
初めて男性社員が育児休業を取ったのは5年ほど前で、ちょうど国会議員が育休を取ったというニュースがあった時期だったと記憶していて、社会的にも理解が進んでいたように思います。

目の前の差し迫った介護だけでなく、これからの介護設計のために

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ー:続いて介護支援部門についての取組についてお聞かせください。

猪:県の認証制度の取組においても、取得事例が少ないと言われている介護支援部門については、弊社ではこれまでに2名の従業員が介護休業を取得しており、いずれも制度上の最長期間である93日の休業を利用した実績がありました。

ただ、育児と違って、介護は先の見えないものです。介護休暇や介護休業は目の前の介護に対しての制度だと思われがちだと思いますが、本来の制度としてはこれからの介護に向けて、サービスの手配や家族の役割分担などの準備をする時間としての制度設計になっているようです。

ですので、今後の使い方としては、目の前に差し迫った介護だけでなく、これからの介護設計のためにこの制度を使ってもらいたいと考えています。

年間休日を増やしながらも生産量の維持・向上の両立を実現した取組成果

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ー:年次有給休暇の取得促進部門についてはいかがでしょうか

猪:年次有給休暇の取得促進部門に関しては、当社はかねてより有給取得率が非常に高く、平均80%を超えています。何か特別な取組を行ったというよりは、昔からそういう社風だったので自然にできていたことだと考えています。

工場では同じ作業を複数人で分担しているので、お互いにカバーしやすいというのも大きな点だと思います。
作業については、属人化しないようにという仕組みを設けているわけではありませんが、自然と技術継承ができている環境で、ベテランが若手に教える文化が根付いています。

また、組合からの要望をきっかけに、半日有給も2007年から導入しました。
最近では時間単位での有給取得を求める声も出てきているので、社内の声に応えられるよう、規則やシステムの整備を検討を進めています。

さらに、弊社独自の取組ではありますが、外部コンサルタントと一緒に「生産性向上活動」という取組も行っており、現在2年目です。この活動の目的の一つに、ムダをなくして生産効率を上げ、将来的に年間休日を増やしていこうという狙いがあります

その取組の成果として、年間休日を増やしながらも生産量を維持・向上させることができてきました。それに加えて、時間外労働も削減されてきており、これは社員にとっても企業にとっても大きなプラスになっている取組だと実感しているので、働きやすさと生産性の両立に向けて、今後も継続していく予定です。

低い離職率と勤続年数の長さから認証取得へ

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ー:女性活躍推進部門についてお聞かせください

猪:女性活躍推進部門に関して、まだ管理職には女性はいませんが、離職率が低く、勤続年数が非常に長いことが認証取得につながったと感じています。 新卒で入社して30年以上勤めあげ、68歳まで働いてくださった方もいらっしゃいました。

また、最近では入社を希望される女性も増えてきていると実感しています。

社員の健康を守るために一つずつ着実に積み重ねることがこれからの課題

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ー:それでは次に、今後の展開についてお聞かせください。

猪:今は健康経営部門の取得を目指しています。健康診断やラジオ体操などは行っているのですが、健康パスポート(事業所版)を導入する案内も頂いたので、そちらも検討しています。最も難しいのは社員の意識改革だと思いますが、今後はこのあたりの取組を強化していきたいと考えています。

現在はまだ取得を目指している段階ではありますが、令和2年から毎年インフルエンザの予防接種を社内で実施するようにしました。提携している病院の方に会社まで来ていただいて、希望者全員に接種できるようにしています。
費用は会社が全額負担しており、社員も気軽に受けられるように配慮しています。

制度として整えていくことも大事ですが、それ以上に社員の健康を守るために、今できることを一つずつ積み重ねていきたいと考えています。

取組の成果として得られた中途採用社員の増加

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ー:実際に取組を行うことで得られた成果や、社内の変化についてはどのようなものがありましたか?

猪:中途採用で入社する社員が増えたことが、1つの大きな成果ではないかと感じています。

新卒採用はなかなか難しいですが、今勤めてくれている社員からの紹介で来てくれる方も多く、やはり実際に働いている人が「この会社は働きやすい」と感じているからこそ得られている成果ではないかと感じています。

これから認証取得に向けて取組を始められる企業様へ

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ー:最後にこれから認証取得へ向けて取組を始められる企業へメッセージをお願いします。

猪:認証取得の要件となる項目の中には、意外にも既に実践できているものもあったりしますので、敷居が高いと思わずに、まずは相談してみることが大事だと思います。

特に就業規則の整備は、この認証取得制度だけでなく、会社全体の透明性にもつながるはずなので、ぜひ一度見直してみてください!